エストニアの心「版画家カルヨ・ポル展」に行ってきました|会報30年2月号
エストニアの心「版画家カルヨ・ポル展」に行ってきました
保守の会会員有志で二月十六日、遠州古代の森・小國神社で開催されていた版画展を見に行きました。
世間ではフェルメールの展覧会が大評判だとテレビのニュースになっていますが、こちらも本当に見て良かったと思いました。版画家カルヨ・ポルの強い思いが迫ってくる作品ばかりで、彼がエストニアの心、国民的芸術家と呼ばれているというのがよくわかりました。
展示作品の多くは暗い白と黒、色があっても、弱い太陽の下に沈んだような鈍い色使いです。最初の数枚は、人類が現れる前の静かな世界のよう。次の古代地方の名が冠せられた一連の版画は、神と人間が未分化の時代でしょうか。「カリの人々」「小屋に住む人々」と名付けられたシリーズではどの人物も恐ろしい顔をしている。古代のヒトの生活は厳しいものであったでしょう、けれども恐怖というよりも顔には心の底に希望を宿した力強さがある。ここに現れる様々な鳥や鹿、熊達は古代神話や遠い祖先のなんらかのトーテムを示しているようです。
これらの版画はフィン・ウゴル民族の神話に発想を得ているそうですが、日本人の、万物に命を見、寄り添う自然観に似ているかと思います。否、むしろ超古代では多くの民族が同じ考え方を持っていて、たまたま日本人がこの心性を残していたのだとさえ思いました。アイヌ人のまま、縄文人のまま。(ここでやはりアイヌは同じ日本人なんだ、一部の人がいくら分別しようと強弁しても、アイヌはただ古い習慣を維持している日本人なのだと確信しました)
この古代と現代を結ぶ版画展が東京ではなく、遠州古代の森と呼ばれる遠江一宮小國神社で開かれたということは、えにしのある事に違いありません。神社に鎮まれる神の力か、あるいは宇宙の黄金律を守るための〈調整者〉の意志か。
宮司のお話によると少壮の頃エストニアに行かれ、以来向こうの方々との交流があるそうです。今回の為に来日されたエストニア外務省の職員の中にもお付き合いのあった方が居られたようで、それさえ何かの力の存在を感じてしまいました。強烈なカルヨ・ポルの版画を見たせいでしょうか。
小國神社のカルヨ・ポル版画展は終了しましたが、次は三月九日から四月十四日まで長野県佐久市で開催されます。
小國神社は大きな神社で、土産屋が並ぶだけでなく、周囲には関連する職人の店があります。境内には陶器職の店もあり、御神木の杉の落葉を利用して釉薬を作っているのだそうです。
その後、磐田市内に向かい五月十一日、十二日のパネル展の申し込みをしてきました。
投稿日: 2019年2月19日 火曜日