静岡保守の会|会報30年7月号

 ほんとうにたまたまNHK―BS「関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」を見ました。リュック姿の関口氏がチェコの温泉地を散策し、次(つ)いで鉄道でドイツとの国境地帯ズデーデン地方に入って行きます。

ナレーションでなんと『ここには大勢のドイツ人が住んでいて・・・』と第二次世界大戦後のドイツ人追放の話を始めるのです。びっくりしました。あの関口宏の息子がそこをやるの?驚いた私はテレビの前に釘付けで立っていました。さらに不用意にも、彼は立ち寄ったカフェのテラスで隣の客(五十ぐらいの男性)に数百万のドイツ人を追放したはなしをどう思いますかと尋ね始めたのです。

『そんな、そんなことを聞いちゃうの』とドギマギして、手に汗を握るというか、冷や汗というか、真剣に見入ってしまいました。なぜならズデーデンこそ民族の憎悪の極まった場所であり、さらに第二次世界大戦のさきぶれとして準備された因縁の場所だったからです。きっと(諸国民の公正を信頼すべきという)関口知宏も関口宏も、テレビのディレクターも知らないのでしょうけれど。

 現在の中欧・東欧を含めて、中世の神聖ローマ帝国はドイツと呼ばれていました。その中には三百もの主権国家があり、その状況を十九世紀初頭のドイツ詩人ゲオルクビューヒナーは

「我々は一ダースほどの公国を、さらに半ダースほどの大公国を、さらに二つ三つの王国を通り抜けてきた。なんとこれがたった半日の行程なのだ」

と自虐的に語っています。その多くの国の中でチェコ人が国をたもったのは十世紀に誕生したプシェミスル家ボヘミア王国です。

しかし十一世紀には神聖ローマ帝国に臣従を誓い、十三世紀、一二一五年には臣下のままボヘミア国王を名乗ることと世襲が認められます。それも一三〇六年には血筋が絶え、ドイツ人がボヘミア王に選ばれました。

 神聖ローマ帝国がナポレオン戦争で解散し、オーストリア・ハンガリー帝国に変わります。十以上の混在する民族は、帝国内を自由に行き来し、商売をし、トルコ、ロシア、フランスなどの強国に対しては帝国臣民の一員として力を合わせと戦いました。

 しかし一九一四年第一次世界大戦がはじまると、民族自決の気運のなかで帝国側で戦っていたチェコ人部隊は連合国側に寝返ってしまいます。その後帝国は滅亡、チェコスロバキアが初めて建国されました。

この時、国家運営の経験のなかったチェコは戦勝国として過大な要求をします。チェコ人が住む地域ばかりでなくドイツ人が多く住みドイツ語が話されているズデーデン地方を自分の領土にしたいと言い出すのです。

ズデーデンはかなり広い面積で大きな工業都市があり、当時のドイツの中央部をえぐり取る形になります。これに懸念する声もありましたが、国際社会はドイツ人を差別しない、ドイツ語の使用を認めるという条件をつけズデーデンのチェコスロバキア編入を認めました。

独軍侵攻を喜ぶズデーデンの人々
しかし数年後には全員が悲劇の中に


世界が不況で苦しむ中、ヒトラーのドイツだけが経済政策に成功し喝采を博します。チェコ政府はドイツ系住民の力が増すのを恐れ、チェコ語を強要します。そして虐げられたドイツ人はドイツの栄光、編入を求め、ついに英仏の傍観の中、ドイツ軍はチェコスロバキアに侵攻したのです。

一九四五年ドイツの敗北が決定するとたちまちズデーデンのドイツ人の虐殺が始まりました。軍隊が虐殺するのではありません。ともに住んでいた普通のチェコの人々が、隣のドイツ人の老人、女性、子供を襲い、二十数万人がむごくも殺されていったのです。数百数千の人間で殺しきれる数ではありません。この場面を当時を生きたチェコ人は記憶に焼き付けていたはずです。

 結局テレビのインタビューにあったチェコ人は、ドイツからの侵略があってと、はっきりしない当たり障りのない答えをしていました。テレビのナレーションではチェコがズデーデンを領有したいきさつも、国際社会の無責任も言わず、虐殺という言葉もなく、ただ強制移住させられ、その道中で二十万人の人々がなくなったという説明でした。

当時の引き倒された墓石は今復元され、チェコのEU加盟の際に両国の和解が成立しました・・・という番組でした。そこで終わるところ、このひょうひょうとした関口知宏氏は「憎しみは消える?」と呟きます。

なかなか鋭い青年だ、と感心しました。関口君、おかしいと思ったのなら是非調べてくれ。

 私が何よりも許せないのが戦争を知らない平和運動家です。集まって歌を歌ったり、千羽鶴を折ったり、馬鹿げてるのは死人のふりをしてみる事。日本が戦争に巻き込まれないよう、女性の強制連行があったことにして謝っておこうとする、南京で大虐殺があったことにしてこれも謝っておこうと。

しかし世界では実際に非戦闘員の虐殺や百万人規模の組織的なレイプが行われたのです。世界の人々にはこれらは想像上の出来事ではなく現実世界の出来事なのです。謝って済むことではない。

 南京大虐殺は十分、中国軍の日本侵略の名分になります。そして南京虐殺をずっと真実だと刷り込まれてきた兵士たちは必ず日本の都市で復讐を果たすでしょう。中国人民数億のうち日本人を殺してやりたいと思っている人間はゼロではない。

 テレビ局や関口君のお父さんは、何も手を出さない日本を攻めてくる国はない、そういう国は国際社会が許さない、そう主張していますが全く当てにならない話です。日本の平和を守るためには情緒でなく、厳しい努力が必要なのです。




«   »

Write a comment






会報誌/静岡保守の会|正しい日本の歴史や真実の情報を伝える保守団体

カテゴリー
最近の投稿
アーカイブ